2011年12月31日土曜日

アラミダのマンチキン バウ 2

フォア・ハッチはキャビントップではなく、ビンガムのデザインそのままにフォアデッキに在り、この小さなテントの下に隠れている。

スプリット上にはクリートの替わりにブロンズ製ムーアリング・ビット(サムソン・ポスト)が鎮座。





その後ろに見えるのはステイスルのタックを留めるためのアイ。右舷側デッキにはチェイン・ロッカーに通じるハウザー(デッキ)パイプ。

左舷側には船内機燃料タンクのデッキ・フィル(注油口)。

バウスプリットのフォアデッキに伸びた部分は後年のPSC製より25~30cmは長い。





スプリットのデッキへの装着に万全を期したのだろう。長いプルピット・レイルとのバランスも良い。

欲を言えば、ステムの直ぐ前のSSプレイト上にもプルピット・レイルの脚が欲しい。






そこにレイルの脚が在ればプラットフォームとして使う時も足がサイドに滑べり落ちず安全。ジブ等ヘッスルのテイク・ダウンやリーフ作業時には両ひざを各舷のプラットフォームに置き、股を開いてレイルの脚に自分の脚を押し付けるようにすれば、波を乗り越えるバウの動きの中でも非常に安定した形で体をサポートできる。

ステム下部、ボブステイのチェインプレイトもSS製。









後年のPSC製ではブロンズのものがステム中に深く埋め込まれたアンカー型だが、これはスルーボルト2本による外付け。

大きい流木に当たってブロンズ製のチェインプレイトが曲がる例は少なくない。このような外付けだったら取替えも簡単だろう。

(写真はいずれもノー’スター製又はPSC製の番数不詳、1977~78年製フリッカ Munchkin です。)
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2011年12月30日金曜日

アラミダのマンチキン バウ

マンチキンのバウスプリット本体は基本的には1本の木、又は分厚いプランクを重ねた造り。後年のPSC製のようなティークのプルピット・プラットフォームは無い。

プルピット・レイルはバウスプリット部分に留まらずフォアデッキ両舷へ長く延びている。







この艇は各所で良く考えられた特製のSS製パーツが異彩を放っているが、スプリット先端部に被せたクランズ・アイアンも例外ではない。腐りやすい木材先端の断面部をそっくりカバーして保護している。トップのフォアステイ装着部は2枚のフィンの間に渡したボルトにシャックルが付いている。

プルピット・レイルのフォアの両脚はSSプレイトに溶接。プレイトはスルーボルトでスプリットに装着。

その後ろには両舷のウィスカー・ステイの線に合わせる形でSSプレイトがもう1枚。








このアフトのプレイトはステムに装着のSS板及び2本のサポート・パイプと一体化された構造。






スプリットの根元を下から支えると共に、突き出たSSプレイト部分は足を乗せるプラットフォームとしても機能する。造り、材料共に基本的には初日に観た [トランサム右舷側] のプラットフォームと共通だ。

(写真はいずれもノー’スター製又はPSC製の番数不詳、1977~78年製フリッカ Munchkin です。)
フリッカ・ホームページで今売りに出されているフリッカ一覧

2011年12月29日木曜日

アラミダのマンチキン リギング

マンチキンはスループだ。

既に見たように、スターンではプルピット・レイルを利用して2本のチェインプレイトとトラヴェラーがうまく配置され、ステイやシートが邪魔にならず、機能的なデザインとなっている。SSパイプと木の使い分けもうまい。

各舷ともにSS製 [プルピット・レイルの脚] がそのままチェインプレイトになっている。






フォアステイがマストヘッドに付けられたマストヘッド・リグ。マストもアルミ製。後年のPSC製と変わりない。

アッパー・シュラウドはマストヘッドからスプレッダーを経て真ん中のチェインプレイトへ。スプレッダーの下から伸びたロウアー・シュラウド2本はそれぞれフォアとアフトのチェインプレイトへ。このコンフィグも後年のPSC製と同じだ。



ただし、3本のチェインプレイトの間隔が後年のPSC製より1.5倍位づつ広くなっている。






さらにアフトのロウアー・シュラウドのプレイトのみ殆どダブル幅。トップ部分に孔が2つある。アフト側の1個はシャックルやブロック等を付ければ他の用に使えるかも知れない。

またフォアと真ん中2本のプレイト間にはSS板を仕込んで、ハルヤード等を仮留めできるようになっている。

左舷側も同じアレインジメント。











各プレイトともファスナーが千鳥の足跡の様に左右にずらして締めてあるが、これは無論プレイトを前後どの方向から引いても緩まないようにするための意図的な打ち方だ。

(尚、ポートライトはいずれもプラスチック製だが、雨水等が溜まらないように下部に切り込みが入っているので使いやすいだろう。)

(写真はいずれもノー’スター製又はPSC製の番数不詳、1977~78年製フリッカ Munchkin です。)
フリッカ・ブローシュア(14頁版)

2011年12月28日水曜日

アラミダのマンチキン スターン部分 2

今日はコックピットを覗いてみる。

その前にトランサム左舷側を1枚。

スルーハルの孔が3個見える。喫水に近い所にあるのはコックピットからの排水口。その左上、庇の付いた大きいものは船内機の排気・排水用。中央近くにあるものはスターン・デッキ中にある収納スペース(スターン・アンカー用チェイン・ロッカー)の水抜きだろう。




上から見るとスターン・デッキ、コーミング外のサイド・デッキ、さらにコックピット・シートと方々に小型円形ハッチがあるのが分かる。



[昨日の写真] ではスターン・デッキの中心から少し左舷側にスターン・アンカー・チェイン・ロード出し入れ用のデッキ・パイプも見える。

昔の木造艇同様、コックピット・コーミングが木の厚板で出来ているので、プライマリー・ウィンチの装着も昔流。




ただし、分厚い台座の下は木ではなくSSによる頑丈な造作。

コンパニオンウェイはオフ・センターで右舷側に設置。差し板の替わりに1枚のドアが付いている。





ドアはともかく、オフ・センター方式のコンパニオンウェイは今でも中大型のクルーザーで良く見られるが、キャビン内の空間を機能的に使うためのひとつのアイデアだ。

バルクヘッド左舷側にはスクリーン付きのプラスチック製円形ポートライトが在るが、今回室内のレイアウトを見られなかったのが残念。

オフ・シーズンなのでオーナーは雨露しのぎのテントをかけ、随分長く来ていない様子。






コックピット・クッションは外してある。小型ハッチ以外にオープニングが無いところを見るとコックピット・シートの下は両舷ともバースになっているのかも知れない。

エンジンのリモート・コントロールはシングル・レバー式。ティラー、コーミングのトリミング、シートのレイルなど木の造作部は頑丈で素晴らしい。ヤンマーのダッシボードを装着した木製パネルはドアになっており、そこからチェイン・ロッカーにアクセスできる。

エンジン・アクセス・ハッチはSS又はアルミ製。

(写真はいずれもノー’スター製又はPSC製の番数不詳、1977~78年製フリッカ Munchkin です。)
フリッカ・パッセージのページ フリッカ各艇の長距離航行記録を載せるページ。(全6ページ、各ページ一番下の Next>> をクリック。)

2011年12月27日火曜日

アラミダのマンチキン スターン部分

12月24日、アラミダ島で最初に訪問したのは常時複数のフリッカが係留されていることで知られる [アラミダ・マリーナ]

係留されているフリッカを見つけるのは難しい事ではない。








外付けラダーのスターン、バウスプリットのあるバウ、共にユニークで、どちら側から見ても、シアーライン、スーパーストラクチャー、マストの高さなど他の特徴とも合わせ、かなり離れた所から確認できる。最初に見つけたのはこの艇、マンチキン。3年前には見かけなかった艇だ。

トランサム右舷側に用途不詳の頑丈なSS製プラットフォームが付いている。乗降用ステップか。





この艇、ラダーのチーク(頬板)が長く大きい、コックピット後部のスターン・デッキが広い、スターンの葡萄の蔦のスクロールワークが大きい、等の特徴から一目でノー’スター製フリッカ(又はノー’スターのハル・モールドを使った初年度のパシフィック・シークラフト製)と判った人も多い事だろう。

スターン・プルピット・レイルもユニークだ。両舷を結ぶクロス・ビームの力強いカーブが、デッキやコーミングのカーブ(キャンバー)と同調し、ラダー・チークやティラーのカーブとも相俟って美しい。

メイン・シート・トラヴェラーはクロス・ビームの上に装着。尚、ラダー・チークの上の金属板、ラダーをハルに付けるピントル&ガジョンはブロンズではなくSS製。


ノー’スターのスクロールワークは葡萄の蔦だけではなく、葡萄の実の房が細かく点々と彫り込んである。




スクロールワークは設計者ブルース・ビンガムの当時のパートナー、ケイティー・バークの手作業によるもの。

艇全体の完成度はかなり高い。オーナー・コンプリーションではなく、ノー’スターのハルにウェスタリーがデッキやスーパーストラクチャーを付けたファクトリー艇、又は前述のようにPSCがハル・モールドを受け継いだ直後のファクトリー艇と見受けられる。

(写真はいずれもノー’スター製又はPSC製の番数不詳、1977~78年製フリッカ Munchkin です。)
フリッカ・ホームページのフリッカ・データベース

2011年12月26日月曜日

12月24日土曜日

このオフ・シーズン、週末はセレニティーのキャビン内ティークのオイルを落とし、エピファン(ニス)を塗るための下地を整える作業日としているが、この日はクリスマス・イヴ。

セレニティーに挨拶をしてエンジンをかけバッテリーを充電した後、メンテ作業は休みとし、2年半近くご無沙汰しているSF湾対岸(東岸)にある [アラミダ島] のマリーナを陸路で幾つか訪ねることにした。

訪ねたマリーナのひとつ。ゲートひとつひとつにリースが飾られて良い感じ。







この日各マリーナで撮影したフリッカは都合7杯、加えて個人の家のドックに係留された1杯を遠くから目撃した。それらのフリッカの写真は明日から少しづつ掲出する。

***

本日はセレニティーのメンテ作業進行状況のお知らせを少し。(ちなみに12月初旬は [こういう感じ] だった。その後は紙やすりではなく同じ150番でもゴミや埃の少ないサンディング・メッシを使用している。)

今日の写真までに費やした実作業時間はマン・アワーにして約40時間(作業準備や片付けも結構手間がかかるがその時間は含まず)。


同じ作業をしても他所より暗く残るところがある。

カボードの引き戸もそのひとつ。





まだ作業中なので雑然としている点はご容赦。

この辺り、以前の [オイル拭きの色] と比較され度。

尚、通常レンジのある場所のフタは今回の作業対象外。



(このフタは当時のオイル拭きティークの色に合わせ、ステインの上に仕上げのニスを塗ってある。いずれこのフタもその下の収納箱も作り直す予定。)

個室ヘッド外側。

ハッチとコンパニオンウェイの枠部分は未作業。














個室ヘッド内側。

一様に作業したが、左のバルクヘッドの下側がやけに白っぽい。逆にコンパートメントのドアやその下のシェルフの垂直部分は暗い。画面右下に見えるドアの内側部分は未作業。









同じくヘッド後方のバルクヘッド部分も未作業。

未作業部分のサンディングにあと実働2~3日、その後2~3週間はまた全体的に観て気になる箇所をタッチアップして行こうと思う。エピファン塗り前の下地づくりはまだまだ続く。

No Pain, No Gain.

きれいに仕上がる日を楽しみに根気良く作業。



(写真一等上はアラミダのバリーナ・ベイ・マリーナ、他はいずれもPSC製434艇中295番 Serenity です。)
フリッカのリグ

2011年12月25日日曜日

ガーシュイン

東京湾北端のマリーナに係留のガーシュイン。

オプションでコックピット・コーミングのトップがティーク張りになっている。







サンブレラでカバーしたメインとフォアの両ハッチも恐らくティーク製(例: [1][2] )と思われる。

(写真はPSC製434艇中381番 Gershwin です。)
りりあんと3号ホームページ。 Sマリーナのフリッカ 『ウィンドチャイム』 の僚艇 りりあんと3号(Haber660)。毎週のログで相模湾東部の海の様子やオーナーのヨットライフが手に取るように分かる。
小網代日記。 本日の写真の拝借先。りりあんと3号オーナー夫人のブログ。

2011年12月24日土曜日

シーパップ 続き

上架して船底ブリスター修理などのメンテをした当時(4年前)の写真がもっと出て来た。

北米では上架時 [ブラウネル・スタンド] を使用。

日本で言う所謂 『船台』 は殆ど使わない。




オフ・シーズンだったのか、その後マストを倒しカバーを被せて暫く保管してあったようだ。






画面左隣りのセイルボートもフル・キール艇だ。スーパーストラクチャー(キャビン)が2段式になっている。キャビン後部でスタンディング・ヘッド・ルーム(大人がキャビン内に立てる高さ)を確保するのが主目的で、このスタイルは1960年代、特に60年代前半に流行した(例: コロンビア24 )が、70年代に入るとすっかり姿を消した。

フリッカはデッキ長20フィートの小型艇ながらそのような造作無しでスタンディング・ヘッド・ルームを確保している稀有なデザインだ。

(写真はいずれもPSC製434艇中074番 Seapup です。)
フリッカのスペック

2011年12月23日金曜日

シーパップ アップデイト

昨年(2010年)夏に売りに出されたフロリダのフリッカ [シーパップ] 。今年11月に買い手が付いたそうだ。

1983年半ば位までのPSC製フリッカに特有のアーチ2本の入ったメイン・ハッチ。







新オーナーが何処をホームにしているのか分からないが、フロリダだったら冬はハリケーンの心配無用のセイリング・シーズン。艇に慣れるためのセイリングを繰り返しながら既にこの冬の長期クルーズの準備に入っているかも知れない。

(写真はPSC製434艇中074番 Seapup です。)
USヤフー・フリッカ・グループ

2011年12月22日木曜日

ミスティーのアドヴェンチャー

ミスティーは11月、トレイラーに乗せられ日中移動3日間の牽引で北カリフォルニア、レイク・タホ近くの町 [トラッキー] からメキシコのコルテズ海東岸にある [サン・カルロス] まで移動した。

好天候を待った後、去る11月30日、対岸のバハ・カリフォルニア(カリフォルニア半島)にある [プエルト・エスコンディド] に向け出航。

上のGPSプロッターは全航程南へ130マイルの航海途中の画面。

シングルハンドなのでオートパイロット(Simrad TP22)が役立つ。







朝8時出航後5時半の日没まで一日中、北からの微風で快適な機帆走。

カリフォルニア半島に沈む夕陽。











さらに上弦の月の光を受けた8時位までは風は変わらず、夢の様な航海は続く。

ところがその後風が東南、さらに南にシフトして真上りとなる。風速も11時までに14~18ノットとビルドアップ。1~2フィートだった波高は3~4フィートとなり、波と波の間の間隔の詰まった危険な波がフォアデッキを洗い、ドジャーの無いコックピットまでスプレイが飛ぶ。さらに11時19分には月没。辺り一面、海面すら見えない真っ暗闇となった。

結局、船外機(ホンダ9.9)とオートパイロット頼みながら、キャビンで毎時間10分の休みを取る以外一晩中不眠のまま、6時45分に東の空に見えた光に救われた。

これがその時の東の空。これ程ほっとする、有り難い朝の光はなかったそうだ。






プエルト・エスコンディド到着は午前11時。係留した所で砂嵐に逢うなどして、前日朝5時起きだった体を休めることができたのはさらにその3時間後だったらしい。

最新のニュースは下のリンク(ブログ)でチェックできる。

(写真はいずれもPSC製434艇中304番 Misty です。)
Sailing Adventures of s/v Misty  ミスティーのセイリング・アドヴェンチャー・ブログ。

2011年12月21日水曜日

メリーランド州のエトワール エンジン

この艇は1985年製 (*) だから1GM10と思いきや、1GMのようだ。85年初期のビルドで1GM10の出る直前のモデルだろう。(1GM10は1GMのシリンダーのボアを大きくして排気量と馬力をアップしただけで外観は殆ど見分けが付かない。)

画面右上、オルタネーター(交流発電機)にベルト・カバーが有るのはまず間違いなく1GM。





エンジン下手前、燃料パイプの下を赤っぽいゴム管が横切っているが、これは外付け燃料フィルター(+外付けポンプ)から伸びて、エンジン本体にある燃料ポンプに接続している燃料供給ライン。通常、ポート側の外付けフィルター+ポンプを出てからずっと後方、トランサムの内側まで引っ張り、そのフリーな空間でSTB側へクロス、そこから [前へ走らせエンジンに接続] (リンク先画面:右下から上部中央まで走る黒いゴム管)、またはエンジンの上前方 [ブリッジ・デッキの中辺りを横切って] (リンク先画面:1990年代半ばの432番艇)STB側に渡り、合板壁を降りてエンジンに接続してある。この艇のようにエンジン下を這わせるのはエンジン振動の影響を受け易いこと、また各種リークの汚れの対象となること、から推奨できない。

画面左上、少し埃りを被った太い黒いホース、ミキシング・エルボーの上をアフト方向へ走っているが用途は不明。また通常エンジンのシリンダー・ブロックを冷却した後の水はシリンダーの [フォアからエルボーに直接繋いである] (リンク先画面:左上から中央部分へのグレーの塗装を施したホース)のが、この艇ではエルボーに接続されるまで随分迂回しているようだ。なぜそうなっているのか、上からの写真があれば理由が分かるかも知れない。

話は変わるが、エンジン下の冷却水配管を見てみよう。









取水口のスルーハルから伸びた青いホースがポート側のハル内側をぐるっと廻り、かろうじて画面右下に見えるストレイナー(ろ過器)に接続、ストレイナーを出た後(この画面では見えないが)一度ビルジ方向に降りてから上昇、エンジン手前、白いファイバーグラスのブリッジに開けた孔を通ってエンジン本体の冷却水ポンプに接続している。

ちなみにおよそ1984年製までは孔はファイバーグラスのブリッジではなく、エンジン下の [パンに開けてある] のが普通。(リンク先の同写真で分かるようにストレイナーも艇中央にある。)

冷却水配管のレイアウト変更は使い勝手というよりも、できるだけ器具装着・配管作業をやり易くして生産効率を上げようという観点から行われたのではないかと思うが、どうだろうか。

* 後日註: この艇は1985年製ではなく1983年製であることが判明した。エンジンが1GM なのも納得できる。

(写真はいずれもPSC製434艇中 268番、1983年製の Etoile です。)
日本のヤフー・フリッカ・グループ

2011年12月20日火曜日

メリーランド州のエトワール インテリア

昨日観たデッキやコックピットも実にきれいにメンテされているが、インテリアも端正にキープされている。

1980年代中期艇の典型的なインテリア。

ヘッドは個室、コンプレッション・ポストは丸く加工されている。












クォーター・バースのクッションは取り去り、スペース全体を収納にしている。白いものはコックピット・クッション。




ギャリーもファクトリー・スタンダードのまま。棚はすぐ手が届くのでラインやラニヤード、タイ等を置くのに便利。




Vバースの棚に落下防止用のレイルは無いが、110V(陸電)の室内コンセントが備わっている。




扇風機やヒーターなどマリーナ・ライフをサポートする電化製品も。

STB側セッティー。棚にセトールの缶が見える。









さすがに四半世紀を経たバースやセッティーのクッションは全体的に疲れが見える。新装すれば居心地もグッと良くなるだろう。

個室ヘッド内部。

棚に見える青いラベルの付いた箱はファースト・エイド(救急薬品等)キット。

1984年製では黄色いバルブ・ハンドルの付いたヘッド洗浄用取水管がポンプ同様インボード側にあるが、この85年製 (*) では既にアフト側(シートの後ろ)に移動している。





ヘッド後方のウェット・ロッカーにはショア・パワー(陸電)コード、バケツなど必需品を置いている。セイル・バッグが一つも見えないが、クォーター・バースに置いてあったのがそうかも知れない。










インテリア全体一見雑然と見えるかも知れないが、さにあらず。デイ・セイリング、適時の錨泊、マリーナでの船中泊など、日常のボート・ライフを楽しむために必要な物を整理整頓して使っているオーナーたちの様子が良く分かる艇だ。すぐにアクセスできる棚だけではなく、クッション下の各収納スペース、Vバース上のドア付きスペース、ギャリーのカボード、シンクの下、等々目に見えない場所も収納物が分かりやすいように分類整理されている事が容易に想像できる。

* 後日註: この艇は1985年製ではなく1983年製であることが判明した。1984年製のセレニティーではヘッド洗浄用取水管がポンプ同様インボード側にあるが、この艇は1983年製にも拘らず1985年製以降の艇と同様アフト側にある、という事になる。何故だろう。

(写真はいずれもPSC製434艇中 268番、1983年製の Etoile です。)
フリッカ・ホームページ "What's New?" のページ
表示されるまでちょっと重いが我慢。"Amazing Whale Rescue" のリンクをクリックして、メキシコのコルテズ海で魚網(ギル・ネット)にかかった鯨を救うシーン(網をナイフでカット)、その後自由になった鯨が恩人たちに感謝するように見せる一連の動きをビデオの最後までご覧あれ。ブリーチング(ジャンプ)は40回にも及んだとの事。

2011年12月19日月曜日

メリーランド州のエトワール デッキ、コックピット

アンカーは20ポンドのCQRのようだ。1985年当時も (*) ファクトリー・スタンダードだったのかも知れない(1984年製セレニティーも付いてきたのは同じアンカー)。CQRはフリッカのバウ・ローラーとプラットフォームにうまい具合に収まる。

バウスプリットをデッキに装着しているスルーボルトは3本。当時のスタンダード。

と言っても一等前の1本はバッキング・プレイトも無く、殆ど形だけで役を果たしていない。1990年代のフリッカでは当初からこれを踏まえ、2本式とし、2本の場所も3本式の後ろ2本と言う訳ではなく、最初から2本で留めるのに最適の場所を選んで固定してある。


ボタン留めのメインスル・カバー。マストのフォアにウィスカー・ポールの一端を固定するためのアイが無いのか、カバーにアイ用のオープニングが無く、唯ボタン8個が整然と並んでいる。











イクステリア・ティークは全てセトール塗り。










バルクヘッドSTB側は風速、風向、ノット(スピード)メーター、ポート側にコンパス。インクリノメーター(ヒール角度計)はブリッジ・デッキ装着。

エンジンのダッシボードはティークのフレームとプレキシ・グラスでカバーされている。






10日程前に見たフロリダの赤いフリッカでも [自作] していたが、この艇の物も自作のようだ。

コックピット・ロッカー。

係留用の各ラインと共に、海上からの [乗降用縄梯子] も見える。





縄梯子は軽く収納にも便利。滅多にディンギーへ乗降したり、泳いだりすることの無い人の中にはこれで充分だろうと思う人が居るかも知れないが、揺れが激しく全く昇れない、ラング(足の置き場)が折れてしまった等、買った人達の評価は甚だ芳しくない。通常クリートやレイルに上部を固定して展開するらしいが、自分でテストしてみる事が肝要だ。

* 後日註: この艇は1985年製ではなく1983年製であることが判明した。

(写真はいずれもPSC製434艇中 268番、1983年製の Etoile です。)
フリッカの歴史 (History of the Flicka)

2011年12月18日日曜日

メリーランド州のエトワール

チェサピーク湾にはフリッカが多い。今回は [アナポリスの南] にあるディールという町のフリッカ、エトワール。

ヨット・ブロウカーのタグを付けられ、何やら戸惑っているようにも見える。







ハルヤードなどがコックピット前まで引かれたシングルハンダーズ・パッケージのライン・レイアウト。

メイン・ハッチはティーク。












このまま手入れ不要ですぐにセイリングできそうだ。









艇はなぜここに繋がれたままなのだろうと思っているのかも知れない。

早く新オーナーが見つかって、また元気一杯駆け回って欲しい。















(写真はいずれもPSC製434艇中 268番、1983年製の Etoile です。)
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